Art Object


【みえないもの】


わたしたちの手仕事を主体とする衣服制作では
同じ環境で同じように染めても、
同じようには出来上がらないその「揺らぎ」を大切にしたいと思っていて、
これまで制作を続けてきたなかで、
色もひとと似ているなー、と常々感じています。

⁡うまれてくる色はひとつひとつちがう、
だけど、だからと言ったらいいのか、ひとつひとつ美しい。
一色単におなじものをうみだす、
というのはあまり自然でなくて、
揺らぎがあることのほうが自然体なんです。
ちがっていて、それぞれに美しいのだと、
色は教えてくれるし
あるがままにそこに在ります。 ⁡

そしてひとも、ひとりひとりがちがっていて、
それぞれに美しいのだと、
改めて気付かされるのです。

ひとりひとりがそれぞれに自分の色で在れたら
世界はどんなにカラフルで
どんなに美しいだろうか、と
そんな想いがずっと制作の核にあります。 ⁡

衣服というみえるものをつくっているのですが
思想というみえないものをつくっている(つくれていたらいい)ので
日々の制作を総称した意味で、【みえないもの】と名付けました。

⁡ 【みえないもの】
28.Sep.2022
染料・麻布、綿布
300.0×300.0cm
⁡ezu_kumiko iwano

 




【water】


雨や雪解け水が沁み渡り地層深くから
ながい年月をかけて湧き出る無垢の水

絶えることなくながく繰り返しつづいてゆく
自然のうみだすエネルギーを形にしたくて、
おなじく自然がうんだ素材のみをつかい
ながく時間を含ませながら制作した衣服を
絵を描く画材の代わりに用いて抽象絵画表現で
ひとつの作品に落とし込みました。

永続的なエネルギー体から伝わる安らかな波動は
わたしたちの心を平らに、平らに、撫でてくれる。
そしてそれは
繰り返し、繰り返し、わたしたちに とどく。

【water】
28.Oct.2024
木・染料・麻布、綿布、絹
180.0×180.0cm
⁡ezu_kumiko iwano